節分の本当の意味は?豆まきの意味とやり方、食べるもの

節分は日本の伝統行事の一つであり、現在は23日に行われることが一般的です。今では豆まきをして鬼に見立てた邪気を追い払ったり、恵方巻を食べたりする行事というイメージが定着しつつあります。しかし、節分の本来の意味をご存知の方は少ないのではないでしょうか。実は、節分は四季の変わり目を指す「二十四節気(にじゅうしせっき)」とも関連性があるのです。今回は、節分の本来の意味や豆まきの由来、そして節分に食べる行事食についての豆知識をご紹介します。

節分の本当の意味

年中行事の一つとして、子どものころから節分に親しんできた方も多いのではないでしょうか。毎年神社で行われる節分会(せつぶんえ)では、邪気払いや五穀豊穣などの祈りを込めて炒り豆を投げる儀式が厳かに行われます。まずは、節分の本当の意味をご紹介します。

「節分」という言葉の本来の意味

現在では、一般的に2月3日が節分と認識されています。本来「節分」という言葉は、二十四節気で四季の変わり目のことを意味する言葉です。二十四節気とは、春夏秋冬の4つの季節を6つずつの節に分けたものであり、立春・立夏・立秋・立冬などがそれぞれの節として位置づけられています。そこでは節分の日にちは決まっておらず、年によっては2月2日や2月4日のこともあります。春の始まりにあたる、立春の前日に行われることが一般的です。

節分に行事を行う由来

節分の行事は、厄払いの儀式として中国で発祥したものが日本に伝来したとされています。古くは平安時代や室町時代に行われていた「追儺(ついな)」と呼ばれる宮中行事が節分の始まりにあたります。追儺式は立春の前日に、厄を払うための儀式として行われていました。

 

このように、中国大陸から文化が伝わって宮中で追儺が行われるようになり、やがて年中行事として日本中に広く知られるようになります。季節の変わり目には病気や災害などが起こるとされ、それらを鎮めるために節分の行事が行われるようになったようです。

節分と鬼の関係

節分には、日本で古くから恐れられてきた鬼と深い関係があります。昔の人々は、鬼は災厄をもたらす存在だと考えていました。鬼は丑寅(うしとら)の方角(=北東の方角)に現れるとされ、丑寅は時刻でいうと夜中にあたるため、豆まきは夜に行う風習ができあがったとされています。

節分に豆まきをする意味とやり方

豆まきは、節分の行事のなかでも広く知られた風習の一つです。ここでは、豆まきの意味や由来についてご紹介します。

節分に豆をまく意味と由来

豆まきの主な目的は、災いを象徴する鬼を追い払い、福を招くことです。炒った大豆をまくことが一般的ですが、落花生をまく地域もあります。豆まきには魔除けや厄落とし、無病息災などの願いが込められています。

 

節分に豆をまくようになった由来は諸説ありますが、有名なのは京都の鞍馬に伝わる昔話です。鬼が出たときに、毘沙門天のお告げに従って鬼の目に大豆を投げつけたところ、退治できたといいます。この伝説で「魔の目を射る(=豆を炒る)」ことで「摩滅(まめつ)」したことが、節分に豆をまく由来とされています。

節分の豆まきのやり方

・豆まきの準備

豆まきのやり方は、まず福豆(=炒った大豆)を豆まきの前日までに用意しましょう。豆を炒る主な目的は、芽が出てこないようにするためです。古い言い伝えでは、拾い忘れた大豆から芽が出るのは不吉なこととされています。

 

準備した福豆は、豆まき当日まで神棚に飾って神様にお供えしておきましょう。さらに、柊鰯(ひいらぎいわし)と呼ばれる、柊の枝に焼いた鰯の頭を刺したものを玄関の戸口に飾ります。これは、鬼が柊の棘を痛がり、鰯の臭いを嫌うとされているためです。

 

・豆まき当日の流れ

豆まきは、夜になってから行います。家の扉や窓をすべて開けた状態でスタートしましょう。「鬼は外、福は内」の掛け声とともに豆をまきます。豆まきは年男が担うのが伝統ですが、家庭では年男にこだわらなくても構いません。枡を左手に持ち、右手で下手から豆を投げるのが一般的なまき方です。

 

掛け声は地域によって異なる場合がありますが、「鬼は外」と言いながら家の中から外へ向かって豆をまき、「福は内」と言いながら各部屋にもまきます。豆まきを終えたら、家のすべての扉や窓を閉めます。そして豆まきの後には、自分の年齢に1つ加えた数の豆を食べましょう。これは、健康や無病息災を願う意味が込められています。

節分に食べるものと、その意味

節分には、豆まきに使用する福豆以外にも、特定の食べ物を食べる風習があります。ここでは、節分に食べられているものとその意味についてみていきましょう。

恵方巻

節分には、その年の恵方を向きながら太巻きを食べる風習があります。この太巻きは「恵方巻」と呼ばれ、無言のまま1本食べ切ると縁起が良いとされています。なかでも七福神にちなんで7つの具材が入っている恵方巻は、縁起が良いと人気です。

 

恵方巻の起源に関しては諸説あり、どの説が正しいのかは分かっていません。もっとも古いのは、戦国時代の武将が節分の日に巻き寿司を丸ごと食べて戦に出陣したところ、見事勝利を収めたという説です。ほかにも大阪の花街での遊びを起源とする説や、江戸時代の習わしが起源とする説などがあります。

福茶

節分には、福豆を入れたお茶を飲む風習もあります。福茶とは、昆布や梅干し、3粒の福豆を入れた湯飲みにお湯を注いだものです。福豆を食べることと同様に、福豆を入れたお茶も縁起が良い飲み物だとされています。

こんにゃく

食物繊維が豊富なこんにゃくは、体のなかを綺麗にしてくれる食べ物です。そのため、節分などの1年の節目に食べると縁起が良いとされています。家に住みつく鬼を追い出すと同時に、体のなかの悪いものを出すという目的で食べる地域もあります。

そば

日本の一部の地域には、節分にそばを食べる風習があります。「節分蕎麦」と呼ばれることもあり、旧暦が使われていた頃の名残だといわれています。旧暦では、立春を新年とする考え方があったため、今でいう年越しそばのようにそばが食べられていたのです。

 

そばは、その細く長い形状から長寿を願う食べ物として、また、切れやすい性質から厄災を断ち切る食べ物として知られています。江戸時代では、そばは縁起の良い食べ物とされていました。

くじら

くじらのような大きな生き物の肉も、縁起の良い食べ物とされています。三陸地方をはじめ、節分にくじら肉を食べる風習がある地域があります。

けんちん汁

けんちん汁は、神奈川県鎌倉市にある建長寺のお坊さんが作ったといわれている精進料理の一つです。肉や魚を使わず、根菜のみで作るすまし汁で、節分をはじめとするさまざまな行事でふるまわれていました。昔からの習慣として、節分にけんちん汁を食べる地域もあるようです。

節分の本当の意味を知り、楽しみながら福を迎えよう

節分の本当の意味や豆まきの意味とやり方、節分に食べられている食べ物の意味などをご紹介しました。季節の変わり目に行われる重要な行事である節分は、古くから日本に伝わる伝統文化の一つです。ぜひ家族や友人と一緒に、楽しみながら福を迎えましょう。