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日本の伝統芸能である落語は、噺家たちが風刺やユーモアを交えた噺を聴衆に聞かせ、楽しませてくれる演芸です。落語の魅力は、そのストーリーテリングの巧みさだけでなく、独特の道具の使用方法にもあります。今回は、落語初心者にもわかりやすいように、落語で使われる道具についてご紹介します。また、上方落語で使われる小道具についても触れていきますので、落語の世界をより深く知りたい方はぜひ参考にしてみてください。
落語の演者が使用する道具はシンプルですが、落語家の巧みな話術とテクニックで効果的に使われます。ここでは、落語で使われる代表的な道具をご紹介します。
扇子は、落語家が物語を演じる際に頻繁に使用される道具です。落語の世界では、「かぜ」と呼ばれることもあります。落語で使われるのは、主に「高座扇子」と呼ばれる扇子で、一般的に使われる夏扇子とは異なります。夏扇子に比べてサイズが大きく、丈夫な作りをしているのが特徴です。主に無地の白扇が使われ、色柄物や派手なデザインの扇子が使われることはありません。
手ぬぐいは、噺のなかでの小道具としてはもちろん、落語家が汗を拭くために使用されることもあります。噺家の間では「まんだら」と呼ばれ、さまざまなものに見立てて使われる重要な道具の一つです。また、噺家たちはそれぞれオリジナルの手ぬぐいを作成しており、真打に昇進したときは名刺代わりに配ることもあります。色やデザインもそれぞれの個性があり、落語愛好家のなかではコレクションとしても人気です。
落語の道具は、噺のなかで別のものに見立てるために使われることがあります。扇子と手ぬぐいを使い分けながら演じることで、状況をわかりやすくしたり、人物を演じ分けたりするのに効果的です。ここでは、落語のなかで扇子や手ぬぐいがどんな使われ方をしているのかをご紹介します。
扇子は、煙管(キセル)、箸、棹・櫓、釣り竿、刀・槍、傘、お銚子などに見立てて使われます。例えば煙管として使う場合、吸い方の違いで人物を演じ分けることが可能です。武士なら胸を張って、庶民なら煙管をつまむようにして吸うなど、人物像をわかりやすく表現できます。噺家の表現次第でさまざまなものに見立てられ、まさに変幻自在。使い方も噺家ごとに特色があるため、注目してみることで違った楽しみ方ができるでしょう。
手ぬぐいは、本や手紙、煙草入れ、財布などに見立てて使われます。縦長にたたんだ手ぬぐいは、そのまま財布に見立てたり、両手で開いて本を読んでいる様子を表現したりすることが可能です。畳んだ手ぬぐいを開いて、筆に見立てた扇子でサラサラと手紙を書く様子を表すなど、扇子と合わせて使うこともあります。また、手ぬぐいは汗を拭くときなど、実用的な使われ方をすることも多いようです。
江戸落語を行う関東では使われませんが、関西の上方落語では、扇子と手ぬぐい以外にも特有の小道具が用いられます。これは、上方落語が屋外の大道芸として行われていた名残といわれており、音を出して通行人の気を引くために用いられていました。ここでは、上方落語特有の小道具をご紹介します。
見台とは、書物を載せて見るための小さな台のことです。寸法などには特に決まりはなく、天板に板状の脚を取りつけた簡単な構造になっています。上方落語では、張扇や拍子木で叩いて音を出したり、書き物机や湯船、布団や床といったものに見立てたりするために使用します。上方落語は、お祭りなどたくさんの人でにぎわう屋外で演じられていたため、人の興味を引く工夫が必要でした。そのため、バンバンと大きな音を立てて、行きかう人の足を止めさせて聴かせようとしていたといいます。
膝隠しは、見台の前に置く小さな衝立のことです。横幅は、見せたくない部分を隠すために見台より大きな作りになっています。高さは、見台の天板部分が見える程度の高さになっていますが、これは噺家の見台上でのしぐさを見せるためです。落語は全身を使った芸であるため、手元が聴衆に見えるように一段低く作られています。
小拍子とは、その名の通り小さな拍子木のことです。主に噺のなかで場面が切り替わるときや、その場の雰囲気を変えたいときに、2本を1組にして見台に打ち付けて音を鳴らして使われます。見台の項で説明したように、上方落語は屋外で行われるため、大きな音を出して道行く人たちの興味を引かせる必要があったのです。小拍子の音よりも大きな声で噺をしなくてはいけないため、落語家にとっても発声の訓練になっていたといいます。とにかく賑やかに目立たせるために、ときには三味線や笛、太鼓などの楽器も使われるなど、さまざまな工夫がされていました。
落語で用いられる扇子や手ぬぐいなどの道具の役割や必要性をご紹介しました。これらの道具は、落語家の演技や物語の場面をより具体的に表現し、臨場感を与えるのに重要な役割を果たしています。また、上方落語では、江戸落語にはみられない独特の道具が使われ、それぞれの伝統を築いています。このような道具の製造・販売に携わる職人や商売人たちもまた、落語という伝統芸能を支える一翼を担っているのです。落語に興味をもち始めた方は、ぜひ道具の存在や使われ方にも注目してみてください。道具を通じて、より深い理解と感動を得ることができるでしょう。