日本だけの行事についての知識を深める|伝統行事や年中行事の一覧

日本には、ほかの国にはないさまざまな伝統行事があります。春夏秋冬という四季があるため、多くの行事や風習に季節ごとの特色があるのが魅力です。また、近年では海外発祥のイベントが日本独自のスタイルに進化して、新たに日本の文化に根付くことも珍しくありません。

 

ここでは、そんな日本だけの行事を季節別にご紹介します。また、人生の節目に行う伝統行事についてもお伝えします。日本人の生活に馴染み深い行事について、改めて見直してみましょう。

日本の行事の主な分類

日本文化の中には、古くから続く歴史ある行事や、毎年恒例で行われる行事、生涯の大切な節目となる行事など、さまざまな種類の行事があります。初めに、これらの日本の行事を「伝統行事」「年中行事」「人生儀礼」に分けて、それぞれの特徴を解説します。

伝統行事

伝統行事とは、日本で長い歴史を持ち、現在も地域で伝統的に続いている儀式のことです。毎年決まった時期に行われる伝統行事として、お正月や節分、地域のお祭りなどが挙げられます。また、神社の「式年祭」や仏教の「年忌法要」のように、数年~数十年周期で繰り返される伝統行事もあります。

年中行事

年中行事とは、毎年決まった時期に行われる恒例の行事を指します。日本古来の儀式だけでなく、例年行われる幅広い行事が年中行事に含まれます。例えば、バレンタインデーやハロウィンのような海外発祥の比較的新しいイベントも、年中行事の一つです。

人生儀礼

人生儀礼とは、人生の重要な節目や子どもの成長過程に際して、家族や友人などの親しい人たちとお祝いするとともに、健やかな成長や無事を祈って行われる儀式のことです。七五三や成人式のように、神社やお寺を参拝したり、親族で食事会や写真撮影を行ったりするイベントもあります。

春の伝統行事や年中行事

暖かで過ごしやすい日が続き、自然界でも多くの動植物が目覚める春。4月は年度の始まりでもあることから、進学や就職など新たな環境で新生活がスタートする季節でもあります。そんな春の伝統行事や年中行事をご紹介します。

ひな祭り

ひな祭りは、女の子の幸福と健やかな成長をお祈りする日本の伝統的なお祭りです。毎年3月3日に行われ、「桃の節句」とも呼ばれます。ひな祭りでは、家庭にひな人形を飾ってお祝いするのが一般的です。また、ちらし寿司やハマグリのお吸い物のほか、ひなあられや菱餅などの行事食が食べられます。

ホワイトデー

ホワイトデーは毎年3月14日に開催される日本発祥のイベントです。バレンタインデーにチョコレートを受け取った男性が、お返しを贈る日という意味合いがあります。バレンタインデーは海外発祥のイベントですが、ホワイトデーは贈り物をもらったらお返しをするという日本の風習から生まれたとされています。

花見

お花見は、古くから日本人が春の楽しみとしてきたイベントです。毎年3月下旬から4月上旬の桜が開花する期間に、桜の咲く場所へ出かけて親しい人たちと共に鑑賞します。お花見で桜が見られるようになったのは平安時代の頃。当時は貴族の風習でしたが、時代とともに庶民にも広まっていきました。

入学式・入社式

入学式・入社式は海外でも行われますが、日本のイベントとは異なる点があります。例えば、日本の学校では4月に入学式があるのに対して、海外の入学式は9月が一般的です。また、多数の新卒社員が一斉に入社する日本とは異なり、海外では大勢で参加する入社式は行われないことも珍しくありません。

子どもの日

子どもの日は、すべての子どもの幸福をはかるための日です。国連の加盟国では、各国がそれぞれ子どもの日を制定し、その国の文化に合わせてお祝いが行われています。日本では、毎年5月5日が子どもの日となっており、国民の祝日に指定されています。

端午の節句

端午の節句は、男の子の幸福と健やかな成長をお祈りする日本の伝統的なお祭りです。毎年5月5日に行われ、日本の「子どもの日」の元になっています。端午の節句には、ちまきや柏餅などの行事食を食べるほか、家庭に五月人形や鯉のぼりを飾ったり、菖蒲湯に入ったりします。

母の日

母の日は、母親への感謝を伝えるための日です。アメリカで発祥して世界中に広まり、日本でも年中行事として根付きました。母の日の日程や贈り物は国によって異なりますが、日本では毎年5月の第2日曜日に赤いカーネーションを贈るという点で、アメリカと共通しています。

夏の伝統行事や年中行事

強い日差しのもとで自然が活気づいてくる夏。全国各地で地域特有の夏祭りが開催され、海や山で夏らしいレジャーを満喫する人も多く、この季節ならではの楽しみ方があります。そんな夏の伝統行事や年中行事をご紹介します。

父の日

父の日は、父親への感謝を伝えるための日です。母の日が制定された後に、同じくアメリカで発祥して世界中に広まりました。毎年6月の第3日曜日で、アメリカでは黄色いバラが贈り物の定番です。それに対して、日本ではネクタイやお酒などのプレゼントが選ばれる傾向にあります。

七夕

七夕祭りは、毎年7月7日に行われる日本の伝統的な年中行事です。中国から伝わった七夕伝説が元になり、日本の風習が生まれました。七夕伝説とは、年に一度だけ天の川を渡って会うことを許された織姫と彦星の物語のこと。七夕の日には願い事を書いた短冊を笹竹に飾り、祈りを捧げます。

夏祭り

夏祭りは、夏に行われるお祭り全般を指し、全国各地でこの時期の風物詩となっています。日本では夏に多くのお祭りが開催されますが、これは疫病の流行や台風の被害などが無いように神様に祈るためだと考えられています。夏祭りはお囃子やお神輿などのにぎやかな出し物が見どころです。

花火大会

花火大会は、日本では毎年夏に開催されることが多いイベントです。日本の打ち上げ花火は、疫病や飢饉で亡くなった多くの人たちの慰霊や悪疫退散を祈って、江戸時代に始まったとされています。現在では暑い季節ならではの夕涼みの文化として、全国各地で人気のイベントとなりました。

土用の丑の日

土用の丑の日とは、季節の変わり目に体力をつけるためにうなぎを食べる風習です。一般的に、夏土用(=立夏直前の約18日間)の中で、暦の十二支における「丑(うし)」に該当する日を指します。江戸時代に、夏に売れ行きが悪くなるうなぎ店の広告として、平賀源内が考案したとされています。

お盆

お盆とは、ご先祖様を供養する風習です。仏教行事の「盂蘭盆会(うらぼんえ)」が元になっています。日本のお盆は地域によって日程が異なりますが、毎年7月13日~16日、あるいは8月13日~16日頃に行われることが多いです。墓参りやお寺での法要、盆踊りの奉納などによる供養が行われます。

お中元

お中元は、お世話になった方へ感謝の気持ちを込めて贈り物をする風習です。中国の道教の行事「三元」が元になっていて、「中元」と呼ばれる時期にあたる7月15日頃に贈り物をします。日程は地域によって前後し、暑い夏に涼を感じられるフルーツや素麺のように、夏らしい贈り物がよく選ばれます。

秋の伝統行事や年中行事

空気が澄んで、木の葉が徐々に色づいてくる秋。暑さが和らぎ、涼しくて過ごしやすい日が続きます。収穫の季節でもあり、この時期に旬を迎える美味しい食べ物も豊富です。そんな秋の伝統行事や年中行事をご紹介します。

月見

月見は、1年でもっとも美しい秋の月を鑑賞しながら豊作を祈る行事です。毎年9月中旬から10月上旬に来る「十五夜」の夜に行われます。十五夜は旧暦8月15日のこと。元々中国から伝わった風習ですが、日本では月見団子を供えてススキを飾るのが習わしとなっています。

重陽(ちょうよう)の節句

重陽(ちょうよう)の節句は、毎年9月9日に行われる行事です。中国で縁起が良いとされる数字の「9」が重なる節句であり、日本でも健康や長寿を祈る風習が根付きました。この時期に見頃を迎える菊の花を鑑賞するほか、菊を漬けた酒を飲んだり、菊湯に入ったりして邪気を払います。

秋のお彼岸

お彼岸は、日本で生まれたとされる仏教行事です。毎年春と秋に行われ、それぞれ国民の祝日である「春分の日」と「秋分の日」の前後3日間がお彼岸の期間となります。お彼岸には、墓参りやお供え、仏壇・仏具の掃除などによって、ご先祖様の供養が行われます。

紅葉狩り

紅葉狩りとは、美しく色づいた紅葉を鑑賞するために出かけることを指します。平安時代の貴族の文化から始まったとされ、時代とともに庶民にも楽しまれるようになりました。紅葉狩りのシーズンには山へ足を運ぶ人が増え、全国各地の紅葉の名所がにぎわいを見せます。

ハロウィン

ハロウィンはヨーロッパで発祥したお祭りで、毎年10月31日に行われます。海外ではかぼちゃで作ったランタンを飾ったり、お化けや魔女に仮装した子どもがお菓子をもらったりする風習があります。一方、現代の日本ではコスプレをして街を練り歩くイベントが人気を博し、独自のハロウィン文化が生まれました。

酉の市

酉の市は、関東地方で毎年11月に暦の十二支における「酉(とり)」の日に行われるお祭りです。大鳥信仰の神社で開催され、露天では商売繁盛の縁起物である熊手が売られます。熊手は値切って安く買うと縁起が良いとされるため、会場では多くの客が商談する活気ある風景が見どころです。

新嘗祭(にいなめさい)

新嘗祭は、収穫への感謝を捧げるお祭りです。古くから稲作が続いてきた日本において重要なお祭りの一つで、毎年11月23日に開催されます。稲穂が実る秋になると、その年に収穫した穀物を神様に捧げることで、収穫に感謝するとともに翌年の豊作をお祈りするのです。

冬の伝統行事や年中行事

厳しい寒さが続く冬。地域によっては雪が降り積もり、純白の世界が広がります。また、1月には人々が新年を迎えるお祝いをします。年末年始は忙しなくも、にぎわいのある時期です。そんな冬の伝統行事や年中行事をご紹介します。

冬至

冬至は1年でもっとも昼が短く、夜が長い日です。毎年12月22日の前後に訪れます。日本では、冬至に栄養価の高いかぼちゃを食べたり、柚子風呂に入って体を温めたりして、風邪予防につなげる風習があります。また、冬至を過ぎると春が来ることから、物事が好転するといった意味合いもある日です。

クリスマス

クリスマスはキリスト教のお祭りで、12月25日にキリストの降誕をお祝いします。海外諸国では、教会のミサへ足を運び、家族と静かに過ごすことが一般的です。一方、日本のクリスマスは独自の行事として定着し、当日は恋人とディナーに出かけたり、子どもにプレゼントを贈ったりして、にぎやかに過ごします。

お歳暮

お歳暮は、お世話になった方へ1年間の感謝の気持ちを込めて、年の瀬に贈り物をする風習です。地域によって異なりますが、12月の初めから大晦日までの期間に贈られます。年の半ばに贈られるお中元と比べて、その年の感謝を伝えるお歳暮では、より高価な品物が選ばれる傾向にあります。

すす払い

すす払いは、新年を迎える前の12月13日頃に家の掃除を行う風習です。元々は、新年の神様をお迎えするために、1年間の汚れを落とす意味合いがありました。近年では、新年を気持ち良く迎えるための掃除の機会として、年末に「大掃除」を行う家庭も多くなっています。

大晦日

大晦日とは、1年の最後の日である12月31日のことです。世界各国には、さまざまな大晦日の過ごし方があります。日本の大晦日には、年越しそばを食べて縁起を担いだり、煩悩を取り除くためにお寺で除夜の鐘を108回鳴らしたりする風習があります。

お正月

お正月とは、新年が始まる1月1日~7日までの期間を指します。新年のお祝いは世界各国で行われますが、日本には独自の風習があります。例えば、神様を迎えるために門松や鏡餅を飾ったり、健康への願いを込めておせち料理を食べたり、子どもにお年玉をあげたりするのはその一例です。

節分

節分は、毎年2月3日に行われる行事です。立春である2月4日の前日にあたる日に、邪気を払って無病生存をお祈りする意味合いがあります。節分には「鬼は外、福は内」と掛け声をしながら豆をまく「豆まき」が行われます。また、近年では縁起の良い方角を向いて恵方巻を食べる文化も定着しました。

バレンタインデー

バレンタインデーは海外発祥のイベントで、恋人同士が愛を誓う日として世界的にお祝いされています。日本では、女性がチョコレートを贈って愛を告白する日として、独自の文化が根付きました。このようにチョコレートが贈り物の定番となっているのは、日本だけに見られる特徴です。

人生の節目に行う伝統行事

人生には数多くの重要なライフイベントがあります。そんな大きな節目には、日本の文化に根付いた伝統的な方法でお祝いが行われることも。最後に、人生の節目に行う伝統行事をご紹介します。

お宮参り

お宮参りは、赤ちゃんの生後1カ月頃を目安に、神社やお寺を参拝する行事です。赤ちゃんの健やかな成長を願って、家族でご祈祷を受けることもあります。また、家族や親戚で集まって、食事会や記念写真の撮影を行うことも珍しくありません。

七五三

七五三は、子どもの健やかな成長をお祈りして、毎年11月15日頃に神社やお寺を参拝する行事です。子どもが3歳・5歳・7歳になった節目に行われることから「七五三」と呼ばれます。家族でご祈祷を受けるほか、食事会や記念撮影などのお祝いをするのが一般的です。

成人式

成人式は、1月の第2月曜日にある国民の祝日「成人の日」に開催される行事です。20歳を迎えて大人の仲間入りをした若者のお祝いに、全国各地の自治体で式典が行われます。新成人が振袖や袴を身に着けて式典に参加したり、晴れ着で記念撮影をしたりしてお祝いします。

結納

結納は、婚約した両家の家族が金品を受け渡す婚約の儀式です。男性側の家族から結納金や結納品を渡し、女性側の家族から受書を渡すことで、両家の縁を結ぶ意味合いがあります。近年は結納を簡易的な形式で行ったり、結納を省略して両家顔合わせ食事会を行ったりすることも珍しくありません。

長寿祝い

長寿祝いは、一定の年齢に達した家族の長生きをお祝いする行事です。なかでも有名な節目として、61歳(満60歳)をお祝いする「還暦(かんれき)」が挙げられます。長寿祝いは節目ごとに祝い着の色が決められており、還暦を迎えた人は赤色の「ちゃんちゃんこ」を身に着けてお祝いする風習があります。

厄除け

厄除けは、災難や不幸が多くなるとされる年齢の「厄年」に、神社やお寺で厄払いの祈願を行うことです。厄年は、中心となる「本厄」の年と、その前後に「前厄」と「後厄」の年があり、3年間にわたり気をつけて過ごすと良いとされています。厄年の年齢は、男性と女性で異なります。

季節や人生の節目に行われる日本だけの行事を楽しみましょう

今回は、日本だけの行事について解説しました。毎年恒例となっている行事の中には、日本で伝統的に続いてきた儀式のほかに、外国で発祥して日本に伝わり、独自の進化を遂げたイベントもあります。いずれの行事も、現在では季節の風物詩として一般的に多くの人に親しまれています。季節や人生の節目には、これらの行事の由来や意味にも思いを馳せながら、楽しんでみてはいかがでしょうか?