- 通常価格
- ¥3,850
- セール
- ¥3,850
- 通常価格
- ¥3,850
- ユニット価格
- につき
将棋の対局には、ゲームのルールとは別に、両者が気持ち良く対局するための礼儀作法が存在します。近年ではオンラインでも気軽に将棋ができるようになり、人によっては対局相手と対面する機会が少ないかもしれません。しかし、これから将棋の大会や交流の場に出たいと考えている方は、将棋の作法についても身に付けておくようおすすめします。
将棋は対局相手があって初めて成り立つものです。スムーズな対局を実現するとともに、切磋琢磨していくためにも、基本のマナーを覚えておきたいですね。今回は、将棋の対局中や観戦中に知っておきたい作法を解説します。
将棋を指す際は、単に駒の動かし方などゲームのルールを覚えるだけでなく、対局中に守るべきマナーを身に着けておかなければなりません。初めに、日本伝統の将棋において大切にされている、対局中の基本的な作法を解説します。
将棋の公式戦や大会では、「待った」を行うのは禁じられています。「待った」とは、一度指した駒から指を離した後に、別のマスへ指し直すことです。駒から指を離したら着手完了とみなされ、以降に駒を移動させるのはマナー違反となります。公式戦や大会で行うと、禁じ手で反則負けとなるおそれがあるため注意しておきましょう。ただし、個人的な練習の場面や指導対局(=プロ棋士との対局を通じて指導してもらうこと)などでは、例外的に「待った」が認められる場合もあります。
将棋の駒を指すときは、盤上のマス目の中へ綺麗に入るように意識し、雑な置き方にならないよう配慮しましょう。駒がどのマスに置かれているかが正確にわからないと、相手が次の手を指しにくくなってしまいます。マスの真ん中へ丁寧に指しましょう。そのためにも、初めのうちは駒の持ち方や置き方など手つきの基本を繰り返し練習し、美しく着手できるようになれると理想的です。
対局中に相手の駒を取ったら、持ち駒がよく見えるような並べ方で置きます。駒台の上へ表向きにして綺麗に並べてください。裏向きに置いたり、重ねて置いたりするのは避けましょう。互いの持ち駒が見えないと、局面を正しく把握しにくくなってしまいます。綺麗に駒を並べることで、対局中の思考の整理にもつながるでしょう。万が一、相手の持ち駒が見えにくい場合は、置き方を変えるよう依頼しても構いません。
日本伝統の将棋では、対局時に相手への礼節をもって振る舞うことが重要だと考えられています。そのため、初心者が誰かと将棋を指す際には、まずは相手への礼儀を身に着けておくことが大切です。ここでは、対局相手に対する作法をご紹介します。
将棋の対局は、両者の棋力(=将棋の強さ)により上位者・下位者を区別して行われるのが特徴です。上位者と下位者は対局で行う作業や、座る位置、使う駒などに違いがあります。上位者は上座に座り、駒の準備や対局後の片付けなどを行います。また、「王将」は上位者が使う駒、「玉将」は下位者が使う駒です。さらに、対局の先手と後手を決める「振り駒」は、上位者が行うことが作法だとされています。
一般的に、両者の棋力は段級の差、年齢の差、獲得タイトルの差などから判断されます。ただし、アマチュアの大会などで両者の棋力が不明な場合は、譲り合いにより上位者・下位者が決まることも珍しくありません。
将棋の対局はそもそも相手がいなければ成り立ちません。そのため、対局の際は相手を重んじて、対局の始まりから終わりまで、気持ち良くあいさつや声がけを行うよう心がけましょう。基本のあいさつは、対局前の「よろしくお願いします」と、対局後の「ありがとうございました」です。また、対局中にトイレなどで離席する場面は、相手に一言かけてから席を離れるのが望ましいといえます。対局が心地よくスムーズに行われるようなコミュニケーションを意識しましょう。
投了とは、自ら負けを認めて宣言することです。自分の負けが決まった時点で「負けました」や「参りました」と言って、投了の意思をはっきりと伝えましょう。たとえ対局に負けて悔しい思いがあるとしても、潔く負けを認めることが将棋での作法とされています。同様に、勝った側が投了を受ける際、相手の前で露骨に喜びを表現するのはマナーとして好ましくありません。負けた側への配慮を忘れずに、「ありがとうございました」と対局へのお礼を伝えましょう。お互いに気持ち良く対局を終えられると理想的です。
感想戦とは、対局中の良い手や悪い手について、対局相手と互いに話し合うことです。将棋では、対局後に感想戦を行うのがマナーだとされているため、積極的に交流を行いましょう。その際は、負けた側から感想戦を行うよう切り出すのが一般的な流れです。感想戦には、対局相手と互いに教え合い最善手を考えることで、将棋への理解をより深められるというメリットがあります。上達のヒントを得て棋力を高めることにもつながるため、対局に負けて悔しいときこそ感想戦の機会を役立てましょう。
将棋では、誰かの対局を観戦するのも大きな楽しみの一つです。ただし、真剣な対局の場にいる第三者は、マナーを守って観戦しなければなりません。最後に、第三者として将棋の対局を観戦するときに押さえておきたい作法を解説します。
将棋の対局中、第三者が対局者へ話しかけることはマナー違反とされています。対局中は第三者による助言も禁止されているため、声を出さず静かに観戦するよう心がけましょう。なお、前述したように将棋では対局が終了した後に対局者同士が互いの打ち方を振り返る「感想戦」が行われます。感想戦の場においては、対局中の手について対局者へ尋ねることもできますが、基本的には対局者同士のやりとりが優先されます。その場の様子を窺った上で質問を行いましょう。
将棋の対局を観戦する第三者は、対局者の集中を途切れさすような言動や、対局者の気を散らすような言動を避けなければなりません。対局の支障になり得ることはしないよう注意しましょう。たとえば、対局者の周囲で飲食をしたり、第三者同士で私語を発したりするのは避けて、静かに落ち着いて観戦するのがマナーです。また、将棋盤を過度に覗き込むといった行為も不適切とされる場合があるため、観戦時の振る舞いにお気を付けください。
ここまで、将棋の対局中や観戦中に押さえておきたいマナーをご紹介しました。日本伝統の将棋には、対局者同士が気持ち良く勝負ができるよう、さまざまな礼儀作法が存在します。こうした作法を守れないと、対局がスムーズに進まなかったり、対局相手に不快な思いをさせてしまったりするおそれがあります。将棋のルールを覚えたら、対局での作法をしっかりと守って、気持ち良く将棋ができるように心がけましょう。