祝儀扇の基礎知識|主な種類と正しい使い方、人気の祝儀扇6選
扇子は日本で古くから縁起物とされ、おめでたい場面で用いられてきました。結婚式をはじめとしたお祝いの席では、「祝儀扇(しゅうぎせん・しゅうぎおうぎ)」と呼ばれる扇子を小物として使います。礼装の着物をお召しになる方は、祝儀扇も併せてご用意ください。こちらの記事では、祝儀扇の特徴や一般的な扇子との違い、お祝い事における使い方のマナーなどをお伝えします。また、多彩な扇子を取り扱う老舗の伊場仙がおすすめする祝儀扇もご紹介するため、ぜひお祝いの席のご準備にお役立てください。
祝儀扇の基礎知識
「祝儀扇(しゅうぎせん・しゅうぎおうぎ)」とは、どのような場面で使う扇子なのでしょうか。初めに、祝儀扇の特徴や、種類について解説します。お祝いの席で使う扇子をお探しの方は、ぜひ参考にしてみてください。
祝儀扇とは
祝儀扇とは、お祝いの席で使われる、やや小ぶりなサイズの礼装用扇子のことです。読み方は「しゅうぎせん」や「しゅうぎおうぎ」となります。また、祝儀扇は「祝儀扇子(しゅうぎせんす)」や「末広(すえひろ)」と呼ばれることもあります。
祝儀扇と一般的な扇子(=夏扇子)は、使い方に大きな違いがあります。夏扇子の場合、涼を取る際に扇面を広げて扇ぐのが主な用途です。それに対して祝儀扇は、儀礼の場で帯に挿したり手に持ったりしますが、扇子を広げて扇ぐことはしません。基本的には、扇子を閉じたまま使います。祝儀扇の詳しい使い方については後述するため、ぜひお読みください。
祝儀扇がお祝いの席で使われるのは、末広がりの形状をしていて縁起が良いとされているためです。次第に広がっていく形をした扇子は、古くから「繁栄」などの意味が込められ、縁起物として用いられてきました。現代においても、結婚式をはじめとしたお祝いの場面で使われています。
祝儀扇の種類
祝儀扇は、主に婦人用と紳士用の種類に分けられます。それぞれデザインに違いがあるため、目的に合わせて選びましょう。
- 女性向け
婦人用の祝儀扇は、金や銀の地紙に黒塗りの骨というデザインが多くなっています。主に、結婚式などの儀式で着用する礼装の着物に合わせて使用します。具体的な例として挙げられるのは、既婚女性の第一礼装である黒留袖のほか、略礼装である色留袖や訪問着などです。婦人用の中には、白い骨や蒔絵の入った骨でできた祝儀扇もあります。こちらは、黒留袖以外の着物と合わせることが多いデザインです。
- 男性向け
紳士用の祝儀扇は、竹骨に白の地紙のシンプルなデザインのものが一般的です。こちらは「白扇(はくせん)」と呼ばれます。和装の場合、白扇は第一礼装である黒羽二重五つ紋付(黒紋付)に合わせます。また、洋装向けの白扇(モーニング扇)を選び、正礼装であるモーニングコートに合わせることも可能です。男性向けの祝儀扇は、和装と洋装を問わずに使うことができます。
人気の祝儀扇 6選
祝儀扇の正しい使い方
結婚式などのお祝い事で礼装の着物を着用されるなら、祝儀扇も併せてご用意ください。ここでは、祝儀扇の正しい使い方をご紹介します。お祝いの席で祝儀扇をお使いになる際は、以下のポイントを押さえておきましょう。
基本的な使い方
女性の着物の場合、祝儀扇は帯の左胸側に、扇の要を下にして少し傾けるように挿しておきます。その際は、帯と帯揚げの間に祝儀扇を挿して、先端を帯から2~3㎝ほど出すのがポイントです。また、紙の面は正面に向けておきましょう。基本的にはこの状態のままで、必要に応じて取り出して使います。
男性の着物では、祝儀扇(白扇)は右手で持ちます。手をあけたい場合、祝儀扇を挿す場所は袴の内側の、角帯と着物の間です。左胸側に、扇の要を下にして少し傾けるようにして、地紙が見えるように挿しましょう。
なお、祝儀扇を使って涼を取るのはマナー違反とされています。夏扇子のように広げて扇ぐ使い方はしないようご注意ください。
立礼時の使い方
結婚式などのお祝いの席では、立礼で挨拶をする場面があります。祝儀扇は、こうした挨拶の際に手に持って使います。挨拶で使用する場合でも、祝儀扇は閉じた状態で使うため、開かないようにお気をつけください。挨拶での祝儀扇の持ち方は、親骨が上に来るように右手で持ち、左手を下から添えるのがポイントです。祝儀扇を持つ高さは、扇子がおへその前に来るあたりが目安となります。
座礼時の使い方
座礼をする際は、祝儀扇を閉じた状態で正座した膝の前に置き、礼をします。このように座礼で扇子を使う場面としては、茶道のお茶席での挨拶に用いられる茶扇子が代表的です。一方で、近年の結婚式では会場に椅子が用意されているケースが多く、座礼で祝儀扇を使う機会は少ないといえます。
座礼時の使い方 茶扇の例
特殊な使い方
祝儀扇は基本的に広げずに使いますが、例外として物を載せる台として使う際に広げることもあります。その際は、開いた祝儀扇の上に、ご祝儀などを置いた状態でお渡しします。
茶扇を台として使う場合 お月謝など
のし袋と茶扇
天正18年創業|歴史深い扇子の老舗「伊場仙」
涼しげで粋な印象の団扇。風量があるので、暑い季節に活躍する場面が多くあるでしょう。浴衣でお出かけするシーンの持ち物にもぴったりです。
伊場仙とは?
伊場仙は創業430年以上の歴史をもつ、団扇・扇子・和紙製品の老舗です。弊社の高級扇子は、厳選した国産の竹や和紙を使用し、熟練の職人が手がけています。江戸時代中期から、日本橋の地で古き良き時代の文化を発信しています。伝統の技が光る江戸扇子から、伝統的なデザインが魅力の手拭い扇子など、数多く取り揃えているのが魅力です。ぜひ涼やかなファッションアイテムとして、また、さまざまなギフトシーンで大切な方へ贈るプレゼントとして、高級扇子をお役立てください。
伊場仙の扇子の特徴
伊場仙では、扇子のデザインや色に江戸の文化を取り入れています。製品を通して、古き良き日本の伝統文化や江戸文化を継承したいと考えているためです。浮世絵の版元であった伊場仙では、歌川広重や歌川国芳など人気浮世絵師の作品を製品にしてきました。今でも、伝統柄や判じ物に加え、浮世絵の江戸扇子を作り続けています。江戸っ子らしいユーモアや反骨精神、粋な心が伝わる伊場仙の扇子を、ぜひお手に取ってお確かめください。
お祝いの席の着物には祝儀扇を用意しましょう
ここまで祝儀扇の特徴や使い方について解説しました。祝儀扇はお祝いの席で使われる礼装用扇子です。婦人用は金や銀の地紙に黒塗りの骨のもの、紳士用は竹骨に白い地紙の白扇が主に用いられます。結婚式などのお祝い事では、着物の帯に挿しておき、立礼をする際に手に持って使うのが基本です。
普段使いする夏扇子とは使い方が異なるため、お祝いの席へ参加する前にぜひ確認しておきましょう。礼装の着物はレンタルでもご利用いただけますが、縁起物の扇子はご自身のものをお持ちになるのもおすすめです。お祝いの場に相応しい扇子をお選びになる際は、ぜひ老舗の伊場仙へご相談ください。