扇・扇子・団扇の違いとは?それぞれの歴史とおすすめ商品6選

私たちの身近にある扇子や団扇。どれも手で扇いで風を起こすために使う道具として知られていますが、具体的にはどのような違いがあるのでしょうか。この記事では、扇・扇子・団扇の違いや歴史について解説します。また、老舗の伊場仙がおすすめの扇・扇子・団扇の6商品をご紹介します。これから扇子や団扇を購入する予定の方は、ぜひそれぞれの特徴の違いを押さえておきましょう。

扇と扇子、団扇の違い

初めに、扇(おうぎ)と扇子(せんす)の違い、扇と団扇(うちわ)の違いについてそれぞれ解説します。長い歴史のなかで起こった言葉の変化についても押さえておきましょう。

扇と扇子の違い

現在では、「扇」と「扇子」はほとんど同じ意味で用いられることが一般的です。しかし、かつて扇という言葉は、手に持って風を起こす道具全般のことを指すものでした。それに対して扇子は、折りたたんで持ち運べる扇のことを指す言葉であったという違いがあります。

扇と団扇の違い

扇子と同様に、かつては「団扇」も扇いで風を起こす道具のことであり、扇の中に含まれていました。しかし、昨今では団扇は扇とは別の物として使い分けられています。現在における団扇とは、竹の骨組みに和紙や布などを円形に貼ったものを指します。扇や扇子とは異なり、団扇は折りたたむことができません。

扇や扇子、団扇の歴史

扇や扇子、団扇はどのように誕生し、現在の姿になったのでしょうか。日本で伝統的に使用されてきた道具の歴史をお伝えします。

扇・扇子の歴史

扇や扇子のような折りたためる形の道具は、日本では平安時代初期に生まれたとされています。当初のものは「檜扇」と呼ばれ、木で作られていました。檜扇は木簡の端に穴をあけて綴じた形をしており、主に男性が宮中での作法などを書き留めておくメモ帳のような役割を果たしていたといいます。そんな檜扇は、次第に華やかな色や絵が施されるようになり、やがて宮中の女性たちに普及しました。女性たちが持つ檜扇は「衵扇(あこめおうぎ)」と呼ばれ、装飾品としても好まれたようです。

その後に登場したのは、竹の骨組みの片面に紙を張り付けた紙扇「蝙蝠扇(かわほりおうぎ)」でした。蝙蝠扇がいつ生まれたのかは定かではありませんが、現代の扇や扇子に近い形をしています。蝙蝠扇は中国に輸出され、紙を両面に貼った扇に変化し、日本に逆輸入されて普及しました。こうして現代の扇や扇子の形ができあがったと考えられています。

団扇の歴史

団扇には、扇や扇子よりも長い歴史があります。古代の中国やエジプトには、団扇が用いられていた記録が残っています。当時、中国で使われていた道具は「翳(さしば)」と呼ばれ、柄の長いうちわの形状をしていました。権威の象徴として、位の高い人が使うものだったといいます。翳は体を隠したり、涼をとったりする目的で使われたようです。その後、翳は日本にも伝来して、古墳時代の遺跡から出土しています。

 

おすすめの扇や扇子、団扇

最後に、おすすめの扇や扇子、団扇をご紹介します。現代のアイテムはデザインや種類が豊富で、日常や趣味などでお使いになる方も多いでしょう。ぜひ選び方の参考にしてみてください。

おすすめの扇・扇子

扇や扇子はコンパクトで持ち運びに便利です。涼をとる際にも使う人を上品に見せてくれます。着物とのコーディネートを楽しみたい方にもおすすめです。

江戸扇子 No.15 馬九行く(うまくいく)

九頭の馬をモチーフにした縁起の良い扇子です。当て字で「万事上手くいく」「何事も上手くいく」という意味が込められています。九頭の馬は勝負運・金運・出世運・家庭運・愛情運・健康運・商売繁盛・豊漁豊作・受験合格という九つの運気を表しています。すべての馬が左向きで、「右に出るものがない」と掛けて勝負運を上げる意味合いもあります。

しけびき扇子 両面柄 紫 【復刻版 本漆】桐箱・袋付き 7.5寸

しけびき扇子 両面柄 紫 【復刻版 本漆】桐箱・袋付き 7.5寸

良質の竹材を独自に配色した本漆で塗って仕上げた、高品質な扇子です。刷毛目を描いた紫の扇面は、「シケ引き」と呼ばれる伝統技法で仕上げました。大人の装いに相応しい上質な扇子をお求めの方におすすめします。付属の袋にはシケ引きの模様を表した美しい刺繍を施しています。お持ち歩きや保管の際にお使いください。

浮世絵 木版画飾り扇 浮世絵 冨嶽三十六景 北斎 神奈川沖 浪裏 箱&扇子立て付き

木版画(もくはんが)とは、木製の原板によって制作される凸版画のことです。伊場仙で取り扱う扇子の中では唯一の木版画の扇子です。葛飾北斎の代表作として知られる『富嶽三十六景』の飾り扇は、迫力ある大波と富士山が描かれた「神奈川沖浪裏」として、国内外でも特に人気の高い浮世絵の一つ。華やかな絵柄の扇は、室内飾りとして贈り物のシーンでも喜ばれます。付属の扇子立ては壁掛けと据え置きのどちらにも対応できるため、お好みの場所に飾っていただけます。[1]

おすすめの団扇

涼しげで粋な印象の団扇。風量があるので、暑い季節に活躍する場面が多くあるでしょう。浴衣でお出かけするシーンの持ち物にもぴったりです。

江戸団扇 今様十二ヶ月 豊国 仲夏 (陰暦五月)

初代・歌川豊国によって描かれた団扇絵のシリーズ『今様十二ヶ月』より、「仲夏之図」があしらわれた江戸団扇です。歌川豊国は歌川派に入門し、役者絵や美人画などで人気を博しました。こちらの商品は現存する団扇絵の版木をもとに、版元である伊場仙が印刷および制作したものです。団扇ならではの構造を生かして表裏にわたって美人画が描かれた、遊び心を感じられるデザインとなっています。[2]

江戸団扇 浮世絵 広重 雪

名所絵で有名な歌川広重による団扇絵「江戸名所 雪」の江戸団扇です。歌川広重は、代表作の『東海道五十三次』をはじめ数多くの風景画を手掛けたことで知られています。扇面には二人の芸者が雪の日に傘をさして仲の町を歩く様子が描かれています。西洋の遠近法を取り入れて、当時の街並みを大胆に表現した浮世絵です。版元である伊場仙が、現存する団扇絵の版木をもとに印刷および制作しました。[3]

江戸うちわ 大満月 No.56

江戸時代から続く昔ながらの製法で、職人による手作りで仕上げられた江戸うちわです。1本の竹を割いて作られる江戸団扇は、天然素材の風合いを生かした涼しげな佇まいが魅力。一つひとつの商品は生地の模様部分によって個性が異なるので、一つとして同じものはございません。一点物ならではの味わいをお楽しみいただけます。

扇・扇子・団扇の違いや特徴を押さえて選びましょう

ここまで、扇・扇子・団扇の違いや歴史についてお伝えしました。現代では、折りたたんで持ち運べるものを「扇」や「扇子」、和紙や布などを丸く貼った折りたためないものを「団扇」と呼ぶことが多くなっています。いずれも手に持って風を起こす道具であり、日常生活でもよく使われています。用途によってどの製品を選ぶべきか異なるため、ご紹介した違いや特徴を押さえて、使い方に適した扇・扇子・団扇をお選びください。